岩国市長選:米軍再編に追い風 問われるアメとムチ
06年3月の住民投票と同年4月の初の新岩国市長選で、艦載機移転に圧倒的「ノー」を突きつけた岩国の民意。三たび問われることになった今回は「容認を前提に国と交渉」の福田氏を選択した。
「米軍再編にプラスになる」。政府関係者は結果に安堵(あんど)した。
在日米軍再編で日米両政府は、福田政権発足後も機会あるごとに「06年5月の日米合意通りの履行」を確認している。その是非を問う市長選だけに、政府・与党は「対外的なアピール度が非常に大きい」(伊吹文明自民党幹事長)とかたずをのんで見守ってきた。
再編計画全体の中で岩国基地の占める位置は重要だ。在日米軍基地の中で朝鮮半島に近く、極東有事の即応部隊の拠点。空母艦載機59機移転で海兵隊などの運用がより効率的となるほか、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機12機移駐で基地機能は強化される。
政府関係者は福田氏の勝利でこの流れが確定することを期待、新市庁舎建設補助金の凍結解除について「当然柔軟に対応する」と明言したが、防衛省は従来対応との整合性に苦慮している。
「米軍再編の進展で名目が変わった」というのが凍結をめぐる政府の公式見解だ。しかし、防衛省幹部は「態度を変えれば出すとの含みも持たせた」と語り、「アメとムチ」手法の一環だったことを認めている。米軍再編を地元に強硬に押し付けた安倍政権時代のしわ寄せが、「凍結解除のための新たな補助金創設の検討」という苦肉の策につながることになった。
政府は在日米軍再編の核である普天間飛行場移設問題で、昨年12月の北部振興策凍結解除に続き、再編に伴う地元負担の見返りとしての再編交付金を沖縄県名護市に支給する方針を決めた。
環境影響評価(アセスメント)本調査着手のメドが立ったことを受けた措置だが、沖縄県と名護市は同時に政府案修正を改めて要求した。
再編交付金支給の条件となる「再編に協力的な自治体」の定義のあいまいさが露呈した形で、政府の「アメとムチ」手法のほころびが見え始めたとも言えそうだ。