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2008/02/07
「現実的であれ、しかし不可能を求めよ!」…チェ・ゲバラ
ずいぶん長い間、非日常的な小難しい話を取り上げてきましたが、今回を最後に、日常世界へ逆ワープします。少し「うらしま太郎」になっていますが、次回から徐々に日常の話題にならしていきたい。

科学的社会主義の3つの源泉と3つの構成部分
マルクスとエンゲルスが、科学的社会主義を創始するに当たって、継承した思想的な潮流の中で、もっとも主要なものは、当時先進国の地位を占めていた3つの国で発展した3つの学説でした。

【3】フランス社会主義
---科学的な階級闘争と革命の理論

科学的社会主義の形成にあたって、第3の理論的源泉となったのは、19世紀の初めに現れたフランスのサン・シモンシャルル・フーリエおよびイギリスのロバート・オーエンの空想的社会主義の思想体系でした。

エンゲルスは、彼らの功績について、「ドイツの理論的社会主義は、サン・シモン、フーリエ、オーエンという3人の人物、どんなに空想的でユートピア的であろうと、やはり全ての時代を通じて、もっとも傑出した思想家に属し、今日その正しさが科学的に立証されつつある無数の事柄を、天才的に予見した、この3人の人物の仕事に自分が支えられていることを、決して忘れるものではない」と書いています。

この3人の思想家たちは、18世紀のフランス唯物論を直接のよりどころとして登場しました。フランス唯物論は、17世紀フランスの哲学者デカルトの「自然学」と、イギリスのベーコンロックの唯物論的伝統と、ニュートンの物理学説など、自然科学の成果を源泉とするもので、ルソーなどの啓蒙的民主主義と共に、当時革命的であったブルジョアジーの戦闘的イデオロギーとして、封建制度を批判し、その精神的支柱としての宗教と教会の社会的役割を暴露しながら、資本主義のための道を開きました。

18世紀のフランス唯物論は、「人間は、元々善良であり、その天賦の知能は同等であり、経験と習慣と教育が全能であり、人間には外部の事情が影響を及ぼすものであり、産業に高度の重要性が置かれ、快楽は是認される…等々」と言う主張により、個人と集団の利益を統一する必要、人間の欲求を充足するための生活場所の保障、犯罪の起こる反社会的場所の絶滅というような思想が現れるための前提を作り出しました。

フーリエは直接にフランス唯物論の学説から出発し、オーエンも、この学説を実践に適用し、生活環境と労働条件を改善することによって、人間の性格と能力を向上させようと試みました。

またルソーは、社会的不平等の問題を鋭く提起し、全ての人々が平等であった社会生活の原始段階では、私有財産がなかったことから、人民大衆に対する社会的抑圧、自由と平等の侵犯の源泉を、私有財産の発生の内に見ました

フランス啓蒙思想の宣言した「自然権」(人間の資質の差に関わりなく、人間が人間たる資格において享受できる権利)の思想も、そこから導き出される次のような帰結のために、空想的社会主義にとって重要な意義を持つことになりました。

--社会と国家は、全ての人間の平等な政治的権利を保障しなければならない。共同所有が自然的であり、労働が占有の唯一の正当な権原なのであるから、私的所有は平等に分配するべきである。社会の成員は、その労働の全収益を取得する権利を持っており、労働しない人間がそこから搾取することは、自然権を侵害するものである

この3人の偉大な空想的社会主義者たちは、ブルジョア古典派経済学者たちが、資本主義制度を自然的なものであり、人間の本性にかなった合理的なものと見なしたのに対して、この制度を不自然であり、不合理であり、人間性に矛盾するものと見なしました。
彼らは、資本主義の初期に、その矛盾を見抜き、その終末を予見したのです。
彼らが望んだものは、人間による人間の搾取を絶滅することでした

しかし、彼らは資本主義の発展法則も、新しい社会の創造者となる社会的勢力(労働者階級)を見出すことができず、社会主義への道筋を示すことはできませんでした。彼らは「正義と道徳」にすがりました。しかし、「正義と道徳」には社会主義への道を切り開く力はなかったのです。

科学的な階級闘争と革命の理論
マルクスとエンゲルスは、最良の客観的条件に恵まれていました。彼らの時代にはプロレタリアートが存在感を示し、ブルジョアジーとの階級闘争は、先鋭的で組織された形をとるようになっていたのです。社会主義に関する空想を、一つの科学…科学的社会主義に変えるための条件が生まれていたのです。

科学的な階級闘争と革命の理論の特徴点
1.マルクスとエンゲルスは、社会主義が空想家の思いつきではなく、資本主義社会の発展の必然の結果であることを初めて明らかにしました。
資本主義の発展そのものが、社会主義を実現する物理的条件、即ち大規模生産を作り出します。しかし資本主義的生産様式を社会主義的生産様式に変えるためには、生産手段をブルジョアジーの私的所有から、全社会の所有に移すことが必要です。

2.しかし、支配している搾取階級は、自発的に自分の財産や、特権や権力を放棄しません。そこで搾取者の支配を倒して、搾取のない新しい社会を作りだすことの出来る、新しい社会的勢力が必要です。その社会的勢力がプロレタリアートでした。
マルクスとエンゲルスは、資本主義の墓掘り人としての、また新しい社会主義社会の創造者としてのプロレタリアートの歴史的使命を明らかにしたのです。

3.マルクスとエンゲルスは、プロレタリアートが資本主義の、もっとも革命的な、最も先進的な階級であることを教えました。資本主義そのものが、プロレタリアート…生産手段を奪われ、生きるためには自分の労働力を売らなければならない人々…を生み出します。プロレタリアートは、資本主義の発展とともに成長し、発展します。

プロレタリアートが革命によって失うものは鉄鎖だけです。プロレタリアートは社会全体の根本的改造、私的所有、貧困と抑圧を完全になくすことに関心を持っています。大工場における共同労働は、労働者大衆を結びつけ、訓練し、彼らの団結を固め、彼らに共同行動を教えます。プロレタリアートは、自分以外の勤労大衆全体をも、あらゆる搾取から解放しなければ、自分を解放することができません。だから、プロレタリアートは、全ての抑圧されている勤労大衆の革命的指導者なのです

4.マルクスとエンゲルスは、資本主義社会の発展と、その中での階級闘争とが、不可避的に資本主義の壊滅とプロレタリアートの勝利をもたらすことを証明したのです。
また資本主義制度を、社会主義制度に変えるためには、プロレタリアートは、全ての抑圧されている人々の先頭に立って社会主義革命を成し遂げ、搾取者の抵抗を抑え、新しい無階級の共産主義社会を建設するために、自らの「政治支配」を打ち立てなければならないことを教えました。

5.マルクスとエンゲルスは、労働者階級の力が、その組織性と自覚に、自分の目標と任務、闘争の方法と手段をはっきり理解することにある教え、勝利するためには、労働運動は、科学的社会主義の理論という武器を持たねばならないことを示しました。

社会主義と労働運動の結合を実現するのは、労働者階級の党…プロレタリアート全体の利益を代表し、労働運動にその政治的任務と終局目標を示す党です。資本主義を打倒し、共産主義を建設するためには、プロレタリアートは、独自の党を建設せねばならぬことを教え、この党を「共産党」と名付けました

6.マルクスとエンゲルスは、全世界の労働者階級が、その経済的地位、階級敵、解放の条件などの共通性に基づいて連帯し、団結するという…プロレタリア国際主義の原則を、「万国の労働者団結せよ!」のスローガンに定式化させました。

7.マルクスとエンゲルスにとっては、空想的社会主義者と違い、共産主義は幻想でも、夢想でもなく、現在の状況を変革しようとする、現実の運動…この運動の諸条件は、現在目の前にある前提条件によって決まる…によって達成されるところの、歴史的に条件づけられた目標でした。

社会主義と共産主義
マルクスは、社会主義と共産主義とは、一つの共産主義的な社会構成体の二つの段階であると言い、それぞれの基本的な様相を特徴づけています。
マルクスは、搾取階級のいない社会体制としての社会主義を、共産主義社会の「第1段階」あるいは「低い段階」と呼びました。
--「ここで問題にしているのは、それ自身の土台の上に発展した共産主義社会ではなくて、反対に、今ようやく資本主義社会から生まれたばかりの共産主義社会である。従って、この共産主義社会は、あらゆる点で、経済的にも、道徳的にも、精神的にも、その共産主義社会が生まれ出てきた母胎である旧社会の母斑を、まだ帯びている。」

このあと、社会主義段階では…「各人は能力に応じて働き、労働量に応じて分配を受ける…」
共産主義社会では…「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!
と言う、余りにも有名なフレーズに至る訳ですが、この部分は長文になりすぎたので、フレーズだけで省略いたします。



(参考文献/科学的社会主義/岡本博之監修/新日本出版)

2008.02.07(Thu)09:13 |  戦後民主主義  | コメント : 2 | トラックバック : 2

「社会主義」と「共産主義」の二段階論が吟味されたようです。
>社会主義段階では…「各人は能力に応じて働き、労働量に応じて分配を受ける…」
共産主義社会では…「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」

simanto114さん、こんばんは。またまた突然で、今回は「掲示板あらし」になるかもしれませんが、上記の箇所が最近改訂されたようです。
simanto114さんの今後の講義に期待いたします。

参照文献↓

不破哲三著 『新・日本共産党綱領を読む』
新日本出版社 2004年12月15日初版
第五講(P334〜)
(一)新しい綱領は”定説”を大胆に清算した


2008.02.07(Thu)20:52 | mico_tenar #iqyXW36M | URL [ 編集 ]
mico_tenar さんへ
ホンマに「あらし」やな。(笑)
ご指摘の本は、私も数週間前に読んだばかりですので、よく覚えております。

あえて、あいまいにして、補正しなかったのは、あのフレーズは個人的には気に入ってるのと、もう一つは、もっと別方向の方からの「突っ込み」があるかも…と期待していたのですが、おじゃんですね。

おそらく、党員でも知らない人が多いだろうと思います。さすがです。。。

2008.02.08(Fri)18:59 | simanto114 #.HUrAvmg | URL [ 編集 ]
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